医学生の皆さん 研修医の先生へ

女性医師の勤務について

これからどこの科に入局しようかと考えている女子医学生の方々にとっては結婚や出産・育児と仕事の両立については非常に不安を感じているのが現状だと思います。

厚生労働省による「平成22年医師・歯科医師・薬剤師調査」では、平成22年12月31日において医療施設に従事する女性医師数は18.9%であり平成20年の前回調査と比べて7.9%増加しています。年代別では、30-39歳の医師のうち女性医師が占める割合は28.5%なのに対して29歳以下では35.9%となっています。

30-39歳といえば、女性医師にとって、出産と育児が重なる時期です。この年齢層で医療施設に従事できている女性医師数が29歳以下の年齢層でのそれを下回っている背景には、出産、育児と勤務の両立が、うまくできていないということを反映している可能性があります。女性医師へのサポート体制は病院ごとで異なり、特に妊娠・出産による休職や復帰の問題での悩みは多く聞かれます。一方で、復帰のしやすさは施設の問題だけでなく、選択した専門の科にもよると思います。手術などは、しばらくやらないとカンが鈍ってしまうこともあるでしょう。

また勤務に復帰したのはいいものの、夜間の呼び出しがあったり、緊急手術、緊急カテーテルなどがあると女性の目から見て家庭との両立は大変だと思います。かといって、そのような大変なことを免除してもらうとなると、後ろめたい気持ちもでてくるのではないでしょうか。

その点、血液内科は、頭を使うデスクワークがほとんどです。手術や大きな手技などはほとんどなく、長い期間、勤務から離れていても、自分の診療技術が劣ることはまずありません。患者さんの重症度にもよりますが、うまく時間配分をすれば、時間内に勤務を終わらせ、保育園や幼稚園にお子さんを迎えに行くことも可能だと思います。

浜松医科大学 血液内科では女性医師の皆さん、それぞれのライフスタイルや価値観を重視した上で、可能な限りサポートしたいと考えています。実際に当科で勤務している女性医師が妊娠・出産後も復職し、育児との両立を行なっておりますので参考になる意見を紹介したいと思います。

休職や復帰の問題で悩んでいる女性医師の皆さん、そして今後の進路を悩んでいる女子医学生の皆さん、ぜひ浜松医科大学血液内科で一緒に働きましょう。

  • 血液内科 女医さんからの感想

    血液内科
    朝比奈彩
    2000年入学
    (卒後8年目)

    2011年8月(30歳)に長男を、2013年10月(32歳)に長女を出産しました。私も妊娠前はフルタイムで働いていましたが、現在は育児中心のため、外来化学療法導入症例や他のスタッフのサポート業務を主にしています。以前のように思い通りに働けない状況に、病棟や患者さんに迷惑をかけてしまい申し訳ない気持ちと症例の経験数の減少に焦りを感じたこともありました。しかし、復帰後、たまたま診療の上で出産・育児の知識が役立ちました。「先生が担当でよかった」と声をかけてもらった時には、涙が出るくらいうれしかったです。マイナスと思っていた妊娠・出産・育児がプラスとしてはたらくこともあるのだと気づかされた出来事でした。
    また、復帰後の心境の変化として、周囲への感謝の気持ちも強くなりました。厳しい医師不足の中、働ける環境を整えて理解してくださっている第三内科・血液内科・病棟のスタッフへの感謝、共働きに協力してくれる夫や両親・保育園への感謝、保育園入園当時より随分病欠が減ってにこにこ登園してくれる息子への感謝です。 確かに、キャリアや臨床経験からすると、女医にとっては妊娠・出産・育児は大きな壁ですが、それに代わるものが得られることがあります。血液内科専門医は、2012年(31歳)に取得しました。出産前に過去の症例をまとめ、勤務中に少しずつ受験勉強しました。実臨床での知識や経験が十分に役立ちます。妊娠・出産・育児だからといって、専門医取得をあきらめる必要はありません。
    特に子どもの小さいうちは、お世話に時間も体力も気力も必要だし、突然発熱して預けられないことも多いです。母親の存在も大切な時期だと思います。限られた勤務時間になってしまいますので、勤務中は集中して仕事をこなすことで、医師として自分のできる役割を果たし、経験やキャリアを積むことができると信じています。 自分の体験が次世代の女医さんたちの参考になればと思います。血液内科に興味のある女性医師・医学生のみなさん、一緒に働きましょう!!!

エントリーフォーム