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医学科5年生の病棟実習について
浜松医科大学では第三内科として3週間の病棟実習をおこなっています。グループのうち2-3人が主患者として血液内科の患者さんを担当し、残りの学生さんは副患者さんとして血液内科の患者さんを担当しますが、今後、カリキュラムの変更などで、担当患者さんの人数は変更になる可能性があります。
血液内科の実習で大事なのは、標準的治療を知ってもらうこと。
私たちが最も重要だと思っているのは、標準的な血液疾患の治療を学んでもらうことです。従って、担当してもらう患者さんは、難解な病態の患者さんや稀な疾患の患者さんではなく、なるべく標準的治療を行う合併症の少ない新規の患者さんを担当してもらうよう心がけています。これに関しては「内科的に難解な病態を考えて、いろいろと鑑別診断を行うことが必要では?」、「稀な疾患を担当して、考えながら論文をしっかり読み込むことも必要では?」など批判的な意見もあるかもしれません。しかし、3週間という限られた期間の中で、5年生の学生さんが学べることは限られています。この限られた期間で、効率よく病歴を聴取し、基本的な治療を理解するには、クリアカットな病態の患者さんを受け持つ方法が良いと考えているからです。1週間のスケジュール
毎週月曜日には、当科スタッフとともに担当患者さんの治療上の問題点や対応策をディスカッションします。その際、病歴のまとめ方、プレゼンテーションの方法を指導します。そして2,3週目の火曜日には第三内科教授回診で担当患者さんのプレゼンテーションをベッドサイドで行うことになります。 また1,2週目の木曜日は担当患者さんの疾患を中心とした講義を60分ほどで行い、担当患者さんの疾患における知識をさらに高めてもらうことになります。その際には、その疾患に関連した実際の国家試験の問題も解いてもらい、理解をさらに深めてもらいます。実習最終週の3週目には、担当患者さんの疾患に関する論文1つを他の学生の前で簡潔にプレゼンテーションしてもらい実習の総括を行います。
医学科6年生の選択実習(選択ポリクリ)について
「選択実習(選択ポリクリ)」を第三内科で選択した6年生は4週間単位で自分の興味のある専門分野(循環器、免疫、血液)を選択することができます。血液内科を希望する場合は選択実習担当の先生にその旨を伝えるようにして下さい。実習で学びたい疾患やその他内容がある場合は遠慮なくスタッフに伝えてください。(白血病が勉強したい、移植がみてみたい、血液疾患が苦手なのでこの際、勉強したいなども可能です。)以下に血液内科を選択した場合のメリットを挙げたいと思います。
血液内科では、抗がん剤の知識のみではなく、全身管理、感染症の治療など、総合内科医としての知識を学ぶことができます。
実際の実習では、一人のスタッフの下で、2-3人の患者さんを担当として診察し、「主治医」の一人として実習をしてもらいます。血液内科は、抗がん剤を扱うだけでなく、全身管理、感染症の治療など、総合内科医としての知識が必要な分野です。従って、抗生剤、抗ウイルス剤、輸血、輸液の管理を学ぶこともできます。
研修医になった後にまず必要になる手技を習得してもらいます。
研修医になった後にまず必要になる採血、皮下注射、留置針の挿入だけでなく、希望があれば、骨髄穿刺の手技も学んでもらうことができます。末梢血幹細胞採取などのアフェレーシスや骨髄移植ドナーからの骨髄採取などもチャンスがあれば見学することができます。
国家試験も見据え、苦手な血液細胞の検鏡など、知識の確認もすることができます
一方、6年生は、その先に控えた卒業試験や国家試験の対策も重要です。従って、この実習は血液疾患の基本を復習できる絶好の機会にもなると思います。多くの学生さんが苦手としている骨髄標本の読み方に対するレクチャーも行います。
プレゼンテーションの仕方やパワーポイントの使用方法なども指導します。
毎週のカンファレンスでは担当患者さんの病状、問題点についてプレゼンテーションをしてもらい、我々スタッフとともに解決策を議論します。第三内科では、選択した分野にかかわらず、実習の最終週には、担当した患者さんに関連するテーマについて、第三内科スタッフの前で発表します。パワーポイントを使ったプレゼンテーションは、当然、経験が少ないと思いますが、その点は心配いりません。私たちスタッフがしっかりサポートさせていただきます。
最後に
以上のように、5年生の時の実習と違って6年生の選択実習では、もう少し踏み込んだ内容を学べるようなスケジュールをたてています。従って、これらをすべて学べるように血液内科を希望する場合は、絶対に4週間の実習をお勧めします。
選択ポリクリを回った6年生からの感想
4週間、血液内科で選択ポリクリをさせていただきました。まず初めに、実習は4週間でとるのがお勧めです。2週間だと、様々なことを学ぶには短すぎます。僕は急性前骨髄球性白血病の患者さんを担当させてもらいました。5年生の時の実習とは違って実際にどのように治療を行ない、どのように効果判定をし、また副作用に対してどう対処するかといった面を重点的に見ることができました。血液内科の治療は常に重篤な副作用と隣り合わせであり、患者さんの状態把握の重要性を認識させられました。血液内科は白血病などの腫瘍だけでなく感染症、全身管理など患者さんを幅広く診ることができるのが魅力だと思います。今回の実習では血液疾患についての知識だけでなく、感染症の対処の仕方、骨髄穿刺やエコーを使った中心静脈カテーテル挿入などの手技についても学ぶことができ非常に有意義な実習になりました。お忙しい中、時間を割いて御指導いただきありがとうございました。今回の経験を今後に生かしていければと思います。
石淵絹人 君
(2013年)